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会社を立ち上げて数年は「売上を伸ばすこと」に意識が向きがちですが、実際には税金の重さに驚くタイミングが必ずやってきます。僕自身も最初は「利益が出たのに、手元にほとんど残らない…」という経験をしました。
でも安心してください。節税といっても、裏技やグレーな手段を使う必要はありません。ルールに沿って“仕組みを整える”だけで税金はちゃんと減らせるのです。
この記事では、
- 起業準備中〜設立3年目の経営者
- これから会社を大きくしたい中小企業オーナー
に向けて、今日からできる節税の具体策を「守り」「攻め」「制度活用」の3ステップで整理しました。
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全体像をつかもう:節税は3つに分けて考える
「節税」と一言でいっても範囲が広すぎて、どこから手をつければいいのか迷うものです。そこで全体を3つのステップに分けて考えるのがオススメです。
守り:お金を使わずに効かせる
最初にやるべきは「守り」。余計に払ってしまっている税金をなくすことです。
- 経費の計上漏れをなくす
- 不要な在庫や資産を処分する
- 回収不能な売掛金を処理する
攻め:成長につながるお金の使い方
次は「攻め」。どうせお金を使うなら、会社を成長させつつ節税につなげます。
- 給与や福利厚生を工夫する
- 設備投資や広告を経費化する
- 役員報酬や賞与を設計して法人×個人の負担を最適化する
制度活用:優遇を取りこぼさない
最後は「制度活用」。知っているかどうかで大きな差が出る領域です。
- 共済や法人保険
- 資本金や決算期の設計
- 各種税額控除や特例
それでは次の章からは3つの節税対策の流れを一つずつ詳しく解説していきます。
守りの節税:まずは取りこぼしをゼロに
一番最初に手をつけるべきなのが「守り」です。お金を出さずにできるのに、多くの会社が見落としています。ここを整えるだけで「税金を余計に払っていた」という事態を防げます。
経費の計上漏れをなくす
実は経費の計上忘れはよくある話です。「発生していたのに帳簿に入れ忘れた」だけで、税金を余分に払うことになります。
- 外注費や広告費は、発生主義で当期に計上する
- 立替精算は締め日・提出期限を決めて徹底する
- 自宅や車の利用分は、期首に按分率を決めて計上
- 経費精算ルールはクラウド会計とセットで整えると抜け漏れがなくなります。

「ここを整えただけで納税額が数十万円減った」という経営者を何人も見てきました。
在庫や資産の棚卸し
倉庫やオフィスに眠っている資産も、節税のネタになります。
- 売れない在庫は処分して損失計上
- 使っていない備品は廃棄・売却で損金に
- 含み損がある株式は売却して損失実現
- 資産は“持っているだけで税負担”になるケースがあります。毎年棚卸しして確認を。
売掛金・債権の見直し
回収不能な債権をそのまま残していませんか?
- 回収不能は貸倒損失に処理する
- 不安がある債権は貸倒引当金を計上する
- 内容証明や督促記録を残すことで、税務署に認められやすくなります。
攻めの節税:成長と節税を同時に叶える
次に取り組みたい「攻め」は、事業の成長に直結するお金の使い方を、税務的にも有利にすることです。節税のためにお金を使うのではなく、成長のために使う→結果として節税になるのが理想です。
人や制度への投資
人材を大切にする制度設計は、節税とモチベーション向上の両立ができます。
- 賃上げ促進税制を使って昇給・賞与の一部を税額控除に
- 出張旅費規程を整備し、日当を非課税で支給
- 社宅制度を導入すれば、家賃を損金にできる
- 中退共や企業型DCは掛金を全額損金に
- 規程は必ず“文書化”しましょう。口頭ルールだと税務署に認められません。

旅費規程と社宅規程は「起業初期の2大必須アイテム」と思っています。
設備や広告への投資
事業に必要な投資は、うまく設計すれば節税にも効きます。
- 固定資産は分解計上して耐用年数を短縮
- 30万円未満の資産は即時費用化
- 中古資産は償却が早い
- HP制作や広告費は広告宣伝目的なら全額経費化
- 買うタイミングを決算前にするだけで、今期の費用にできる場合があります。
法人と個人のバランス
法人税と個人の所得税、両方のバランスをとるのも重要です。
- 役員報酬は期首に定期同額で設定
- 決算賞与は要件を満たせば当期損金に
- 家族を従業員として雇い、実態に応じた給与を支給
- 報酬や賞与は「トータルでどれくらい手元に残るか」で考えるのが鉄則です。
制度活用:国のルールを味方につける
「制度」を知っているかどうかで、納める税金は大きく変わります。中小企業向けにはありがたい優遇制度が多いので、必ず押さえておきましょう。
共済や保険の活用
掛金を損金にできる制度は、中小企業の強い味方です。
- 経営セーフティ共済:黒字期に拠出、赤字期に解約
- 法人保険:保障と損金のバランスを定期的に見直す
- 資金繰りも考えて、拠出と解約のタイミングを計画的に。
税率やタイミングの調整
会社設立時や決算期の設計が、税負担に直結します。
- 資本金1,000万円未満で設立すれば免税や軽減措置あり
- 決算期を繁忙期からずらして利益を平準化
- 家賃や保険料を前払いして当期の費用に
- 決算期の変更は届出が必要。慎重に検討しましょう。
よくある失敗例:節税でやりがちな落とし穴
節税に取り組むとき、意外と多い失敗があります。
- 節税目的だけで不必要な出費をする
キャッシュが減り、本末転倒。 - 規程を整備せずに実施する
税務調査で否認されやすい。 - グレーな節税スキームに手を出す
後から大きなリスクを抱えることに。

節税は「やりすぎ注意」です。目的は税金を減らすことではなく、会社にお金を残すこと。ここを忘れないようにしましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 経費の線引きが分かりません。どこまでOK?
A. ポイントは「事業関連性」「金額の妥当性」「証憑の有無」の3つ。これが揃えば基本的に経費として認められます。
Q. 起業直後は何から手をつけるべき?
A. 出張旅費規程と社宅規程を整備し、経費精算ルールを決めるのが先決。その次に共済や少額資産の特例を使うとスムーズです。
Q. 設備投資は節税目的で前倒しするべき?
A. 節税はあくまで副次効果。必要性と売上への効果が前提です。そのうえで中古や分解計上を検討すると良いです。
Q. 役員報酬は多めと少なめ、どっちが有利?
A. 個人の税率と法人税率を合算して「どちらがトータルで安いか」で判断。期首に決めて定期同額で支給するのがルールです。
Q. 顧問税理士は必須ですか?
A. 正直いなくても決算はできます。ただし、節税や制度活用の“取りこぼしゼロ”を狙うなら顧問は強力な味方になります。
高度な設計や判断が絡むときは、顧問税理士の選び方が成果を左右しま。こちらの記事で詳しく解説してますので参考にして下さい。【失敗しない】税理士の選び方完全ガイド|起業家が見るべき7つのポイント

まとめ
節税はテクニック集ではなく、会社にお金を残すための“仕組みづくり”です。まずはお金を使わずにできる「守り」で取りこぼしをなくし、次に「攻め」で成長に直結する支出を設計し、最後に「制度」を活用して取りこぼしを防ぐ。
この順番で進めると、無理なく資金を残せる体制が整います。大切なのは「税金を減らすこと」が目的ではなく、「残したお金を次の成長に回すこと」。ここを意識するだけで、節税の意味がまったく変わってきます。
本記事の振り返り
今日からできる小さな工夫が、数か月後の資金繰りを大きく変えます。もし「自社に合った方法が分からない」と感じたら、専門家に相談して仕組みを整えるのも一つの手です。節税はゴールではなく成長のための手段。ぜひ会社のお金を賢く守り、未来に投資していきましょう。
👉 顧問税理士選びで迷ったら、こちらの記事を参考にしてください。