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起業を考えている方にとって、法律知識は欠かせないものです。法律を理解していないと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。特に、日本国内で起業する際には、労働法、税法、商法など多岐にわたる法律を把握しておくことが重要です。しかし、法律の専門知識をすべて自分で習得するのは難しいもの。
そこで、弁護士に法律相談をすることが有効な手段となります。本記事では、起業時に知っておくべき基本的な法律知識と、弁護士に相談するメリットについて徹底解説します。これにより、リスクを最小限に抑え、安心してビジネスをスタートさせるための具体的な方法を学びましょう。
企業活動と法務の関わり
そもそもなぜ企業活動と法務が必要なのか。その関係性について解説いたします。
企業法務とは
企業活動の中での法務は「法律問題の対応や、契約書の作成・締結、株主総会の実施、株主名簿の管理、個人情報管理体制の確立」など、企業活動に関する法律事務の活動を指します。顧問弁護士など、外部の専門家の協力を得るか、代表者本人が勉強を行い事務として処理することが一般的になってます。
企業活動と法務の関わり
企業活動は「利益向上」「コスト削減」の2つの経営努力を通して利益を残す活動です。資本主義社会の中では、企業1社1社に求めれる役割は利益を上げ、株主や従業員・国に還元することが目的です。
しかし「法務」は売上UP・コスト削減には直接的に繋がらないのになぜ法務は必要なのか?見ていきましょう。
企業法務の必要性
法律による落とし穴は、企業の規模拡大に比例して大きくなります。法的なものは大抵目に見え無いところに落とし穴が待っているためです。そのため法務を意識した経営は事業運営のリスクと無駄を省き、結果、企業活動の目的である「利益の増大とコストの削減」に関節的に繋がっていきます。日本社会では特に下記のようなケースで必要になります。
法務が必要な理由の一つに日本の規制改革があります。以前の日本は規制で各業界を保護することで利益を守り、経済を発展させてきました。一方で規制により守られた既得権益が新規の事業者を阻害した為、「事後監視」という流れが生まれたのです。これにより企業は、新しいことに挑戦できるようになった反面、問題に直面することになります。
記憶に新しい、検察の特捜部によるライブドアショック事件など、日本社会の構造そのものが牙をむいて潰される企業も少なくないです。原因は日本人の警察や検察に対する信頼の高さ。逮捕された人はみな犯罪者、有罪となったら極悪人という扱いと助長するマスコミ、歯止めをかけるメディアリテラシー教育の欠如などが一部で問題になっています。
起業するなら知っておくべき法律知識
日本社会では、上記のような課題があります。知らなかったでは取り返しがつかないため、これから起業する方も押さえておくべき法律知識があります。特に「民法」「会社法」「労働基準法」については必ず把握しておく必要があります。詳しくみていきましょう。
会社法
会社法は、会社の設立や運営に関する基本的なルールを定めた法律です。特に会社経営者にとっては必ず知っておくべき法律です。例えば、株式会社を設立する際には、定款の作成や資本金の払い込み、登記手続きなど、会社法に基づいた手順を踏む必要があります。
また、会社法は組織変更や合併、株式発行など、企業活動のさまざまな場面で適用されます。会計帳簿の保存や決算報告も会社法のルールに従い適切な手続きを行う義務があります。
民法
民法は、一般市民や法人の権利義務を定める基本的な法律です。物権や債権、親族、相続など、広範な分野をカバーしています。たとえば、親族間や友人とのトラブルは民法に基づいて解決されます。
経営者にとっても重要で、商取引や金融取引、契約や財産の扱い方に関する規定が含まれています。契約後のトラブルが発生した場合、民法上の定義や成立要件を知っていれば、契約の有効性を判断する助けとなります。民法は頻繁に改正されるため、最新の情報を常にチェックすることが求められます。
労働基準法
労働基準法は、労働者の基本的な権利を守るための法律です。起業後、従業員を雇用する予定のある方は必ず確認しておきましょう。労働時間や休憩、賃金、休日、年次有給休暇など、労働条件に関する多岐にわたる規定が設けられています。例えば、法定の手続きを経ずに時間外労働や休日出勤を命じた場合、これは違法行為となり、企業は刑事的、民事的、社会的なペナルティを受けるリスクがあります。また、労働基準法は就業規則の作成や災害補償に関する規定も含んでおり、従業員の安全と健康を守るための措置が求められます。
下請法
外注先に仕事を依頼する予定がある場合は下請法の知識も把握しましょう。下請法は、発注者と下請け業者の間で公正な取引を保証するための法律であり、発注者が優越的地位を濫用して不当な行為を行うことを防ぎます。
発注者と下請け業者の関係では、どうしても発注者のほうが力が強くなりがちです。下請法は下請け業者の権利を守るために存在し、取引の方法や報酬の支払いについても詳細に定めています。下請け業者と紛争になるケースもあるため、しっかりと把握したうえで仕事を外注することが大切です。
著作権法
著作権法は、創作物を作成した人がその作品を独占的に利用できる権利を守るための法律です。例えば、映画、漫画、楽曲、文章、写真、建築物など、多岐にわたる創作物が対象となります。
企業においては、商品やサービスの広告、マーケティング資料なども著作権の対象となり得ます。著作権を侵害すると、法的なトラブルに発展する可能性があるため、企業は他者の著作権を尊重するだけでなく、自社の著作権を保護することも重要です。
現役で弁理士としてご活躍されている大平先生にインタビューを行いました。知財について相談を考えている方はお読み下さい。
【企業の特許を守るプロ】神奈川県川崎市の大平国際特許事務所|大平 和幸さんにインタビュー起業したあなたの会社が裁判の当事者になる3つのケース
では起業したあなたの会社が実際に訴えられてしまう場合、それはどんな時でしょうか?ここではよくある3つのケースに分けて解説します。
取引先から訴えられるケース
取引をしていく中で取引先に損失を出してしまった。もしくは不良品が混じっていたことで取引先から訴えられるケースがあります。または不良品が混じっていたために代金を支払わなかったことで訴えられるというケースもあるなど、様々な側面から会社が何かしらの訴えを起こされることが考えられるパターンです。
消費者から訴えられるケース
消費者から訴えられるケースは、例えば飲食店を経営しているとして、提供した料理の中に異物が混入したとして、お客様が何も知らずにそれを食べてしまい「体調を壊した」「安全対策がなっておらずケガをした」「従業員教育がなっておらず気分を害した」など様々な理由で会社が訴えられる可能性があります。訴えたられたこと自体がニュースになり波及されるため、リスクが大きくなりがちなパターンです。
従業員から訴えられるケース
従業員から訴えられるケースが最も多いパターンです。例えば、「解雇は不当だと裁判・労使を巡るいざこざ」「賃金の未払い問題」「サービス残業を巡る残業代の未払い問題」などがあります。加えて昨今「過労死に関する問題」もクローズアップされ、過労死の環境を作っていた会社だけでなく、上司等の責任者も刑事告訴されるケースが出てきています。
起業初期でよくある法務トラブル
起業初期の段階では、以下のような法務トラブルがよく起きています。
株を巡る創業者間のトラブル
誰から出資を受けるのか、つまり誰が株主となるのかは非常に重大な問題です。たった1株でも、株主が行使できる権利が存在し、これが会社経営に大きな影響を与えます。例えば、1株でも保有していれば、株主総会決議の取消しや会社の合併・分割の差止めを求める訴えを提起することができます。さらに、3%の議決権を持つ株主は、取締役の解任を求める訴訟を提起することができます。したがって、株式を誰に渡すかは非常に慎重に判断する必要があります。
特に短期間の付き合いで株を取得させるのはリスクが高いです。
株の配分を明確にすることも重要です。例えば、創業者Aが60%、Bが40%の株を保有する場合、Aが経営の主導権を握ることになりますが、Bの意見も尊重されるべきです。
株主間契約を締結することで、株の譲渡や売却に関するルールを明確に定めることが大切です。
退任した取締役が競業するビジネスを始めてしまう
退任した取締役が自分と競業するビジネスを始めることはよくあります。防止するためには、入社時または退職時に競業禁止の合意書を作成することが基本となります。この合意書には、会社が守るべき利益と、退職する者にとって過度な不利益を課さないバランスが求められます。具体的には、顧客人脈やノウハウの流出を防ぐために、競業禁止期間や地域を明確に定めることが重要です。
ベンチャーキャピタルなどから投資支援を受ける際のトラブル
ベンチャーキャピタルなどから投資支援を受ける際に、創業者が出資契約書や株主間契約書に深い考えなしにサインしてしまうと、経営の細かい部分にまで干渉されることがあります。
創業者が当初計画していた事業戦略や運営方針を実行できなくなることもあります。
このような事態を避けるためには、種類株式を発行することで、投資家の影響力を制限する方法があります。種類株式を利用することで、特定の権利を制限したり、特定の条件下でのみ権利を行使できるようにすることができます。
必要に応じて、資金調達経験のある先輩起業家かスタートアップ企業に強い弁護士に相談するといいです。
知らずに違法行為をしてしまうトラブル
企業活動には多岐にわたる法律が適用され、その遵守が求められます。起業したばかりの会社では、自分の知らぬ間に違法行為をしてトラブルになってしまう可能性が高くなりがちです。
法律の知識が不足していると、知らずに下記のような違法行為をしてしまう可能性が高くなります。
- 許認可を取らずに営業をした
- 他社の商標を無断で使用した
- 長時間労働を従業員に強要した
- 景品表示法を無視して、インターネット広告を出した
事業を開始する際に必要な許認可を取得しないまま営業を行うと、行政から指導や罰則を受ける可能性があります。例えば、飲食業を営むには食品衛生法に基づく許可が必要ですし、建設業を行うには建設業法に基づく許可が必要です。許認可を取得せずに営業を続けると、最悪の場合、事業の停止を命じられることもあります。
また自社の製品やサービスに他社の商標を無断で使用すると、商標権侵害となり、損害賠償を請求されることがあります。労働者保護の法律も無視できません。例えば、長時間労働を強要したり、適正な賃金を支払わなかったりすると、労働者から訴訟を起こされる可能性がありますし、労働条件の悪化が原因で労働者が健康を害した場合は刑事責任を問われることもあります。
広告を行う際にも景品表示法や特定商取引法、不正競争防止法など、広告に関する法律を遵守しなければなりません。例えば、商品の価格を誤って表示したり、虚偽の広告を行うと、消費者からのクレームや行政からの指導を受けることになります。
起業初期で作成しておいた方がよい契約書
起業して会社を経営していくのであれば、下記の契約書の雛形を準備しておくと安心です。
マネーフォワードさんが、弁護士監修の便利な契約書テンプレートを用意してくれています。
取引基本契約書
取引基本契約書は、企業間での取引における基本的な条件やルールを定める重要な文書です。この契約書を作成することで、双方の権利や義務が明確になり、後々のトラブルを防ぐことができます。例えば、納品期限や品質基準、価格設定、支払い条件などが具体的に記載されます。
特に中小企業にとっては、取引先との信頼関係を築くための基盤となります。契約書の作成には、法的な知識も必要ですが、専門家に依頼することでリスクを最小限に抑えられます。また、取引基本契約書は一度作成すれば、複数の取引に適用できるため、効率的です。
金銭消費貸借契約書
金銭消費貸借契約書は、貸主と借主が金銭を貸し借りする際に締結する重要な書類です。この契約書には、貸付金額、利息、返済期限、返済方法などの詳細が明記されます。特に、利息の設定は利息制限法に基づいて適切に行う必要があります。
利息制限法では、元本額に応じて上限利率が定められており、これを超える利息は無効とされます。また、返済が滞った場合の対応についても明確に記載しておくことが重要です。例えば、遅延損害金の設定や、担保の提供についても契約書に含めることが一般的です。特に、事業資金の借入れの場合は、事業計画や返済計画も併せて検討することが求められます。
雇用契約書
雇用契約書は、従業員と雇用主との間で取り交わされる重要な文書です。労働条件や給与、勤務時間、休暇などの基本的な事項を明確に記載することで、双方の権利と義務を明確にします。日本の労働基準法に基づくと、雇用契約書には必ず記載すべき事項があります。
例えば、労働時間や休憩時間、賃金の支払い方法、休日や休暇の取り扱いなどです。また、労働契約法では、労働者が安心して働ける環境を提供するための規定も設けられています。特に注意すべきは、契約期間や解雇に関する条項です。
秘密保持契約書
秘密保持契約書(NDA)は、ビジネスにおいて情報漏洩を防ぐための重要な書類です。特に起業時には、新しいアイデアやビジネスモデルが外部に漏れるリスクが高まります。NDAを活用することで、取引先や従業員との間で秘密情報の取り扱いに関するルールを明確にし、法的な保護を得ることができます。
契約書には、秘密情報の定義、情報の使用目的、開示範囲、守秘義務の期間などを具体的に記載します。また、違反時のペナルティも明示することで、抑止力を高めることが可能です。特に技術系スタートアップや新製品開発を行う企業にとっては、NDAは必須のツールです。
業務委託契約書
業務委託契約書は、企業が外部の専門家やフリーランスに業務を委託する際に必要な書類です。
この契約書は、業務内容、報酬、納期、秘密保持義務などを明確にするために重要です。例えば、IT企業がウェブ開発を外部のプログラマーに依頼する場合、具体的な作業範囲や納品物の仕様を契約書に明記することで、双方のトラブルを未然に防ぐことができます。
また、業務委託契約書には、著作権や知的財産権の取り扱いについても記載する必要があります。特にクリエイティブな業務では、成果物の権利がどちらに帰属するかを明確にしておくことが重要です。委託者と受託者の関係が対等であることを示すために、労働契約とは異なる点を強調することも大切です。
賃貸借契約書
賃貸借契約書は、不動産を貸し借りする際に必要な重要書類です。契約書には、賃貸物件の詳細情報や賃料、敷金、礼金、契約期間などが明記されます。また、契約者双方の権利と義務も詳細に記載されており、トラブルを未然に防ぐ役割を果たします。例えば、オフィス家賃の支払い方法や更新時の手続き、契約解除の条件などが含まれます。
請負契約書
請負契約書は、発注者と受注者の間で結ばれる契約書であり、具体的な業務内容や報酬、納期などを明確に定める重要な書類です。特に、建設業やIT業界などで頻繁に使用されます。
この契約書においては、双方の権利と義務を明確にすることで、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。例えば、納期遅延や品質不良に対するペナルティー条項を設けることが一般的です。また報酬の支払い時期や方法も詳細に記載し受注者が安心して業務を遂行できる環境を整えてあげるといいです。
また請負契約書には秘密保持条項を追加することも推奨されます。業務上知り得た機密情報の漏洩を防ぐことができるからです。
起業するときに弁護士に法律相談するメリット
今まで解説してきたように、会社経営をする中でさまざまな法律があり、解釈が分かれるものもあります。起業するうえで最低限の法律知識を身につけておく必要はありますが、ご自身のみで理解するのは難しいです。
そのため迷った場合は弁護士に相談するのがおすすめです。
下記で、弁護士に相談すると、どのようなメリットを受けられるのか解説します。
各種契約書や利用規約などの作成
起業後は、事業開始に伴いさまざまな契約書や利用規約、就業規則などを作成しなければなりません。これらの文書を作成する際には、会社法や民法、個人情報保護法などの関連法規を遵守する必要があるため、弁護士がいれば、取引形態や企業の実情に応じた書類作成を任せられます。
ビジネスモデルの適法性を明らかにできる
事業を立ち上げる前に、事業内容が既存の法律に違反していないかをチェックする必要があります。例えば、特定商取引法や景品表示法、労働基準法や特許や商標、著作権などの権利を侵さないよう確認しなければなりません。自社では調べきれないケースであっても弁護士に相談すれば、正しく判定できるので安心です。
知的財産のサポート
自分が作った事業の商標やアイデアやブランドを守るために特許や商標を取得して活用することは、ビジネスの成長においても必要不可欠です。逆に、他社の権利を侵害しないように注意する義務もありますが、弁護士がいればそうした対策を任せることができます。
共同創業者の株主間契約
共同で起業した場合、共同創業者が会社株式を持ち合います。その際、将来トラブルが顕在化しないように各創業者の出資割合や株式の配分を明確に定めるために、株主間契約を締結しておく必要があります。弁護士はそのサポートを行ってくれます。
現役で弁護士でご活躍されている河野先生と菊地先生にインタビューを行いました。弁護士への法務相談を考えている方はお読み下さい。
【クリエイターの著作権分野のプロ】東京都千代田区の法律事務所アルシエン・河野冬樹さんにインタビュー 【トリプルライセンスを保有するバックオフィスサポートのプロ】東京都江戸川区のAican株式会社菊地 正志さんにインタビューまとめ
起業を考える際、法律の知識は欠かせません。特に契約書の作成や雇用関係、知的財産権など、多岐にわたる法律が関わってきます。しかし、これら全てを完璧に理解するのは難しいため、弁護士の助けを借りることが重要です。弁護士と顧問契約を結ぶことで、日常的な法律相談が可能となり、トラブルを未然に防ぐことができます。
自治体や弁護士会が提供する無料相談も活用しましょう。
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