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公認会計士|佐渡和公認会計士・税理士事務所
佐渡 和
さわたり やすし
一般企業で就業経験ののち、平成30年10月に税理士事務所を開業しました。 会計事務所というと、少し敷居が高いようなイメージを持たれるかもしれませんが、「親しみやすさ」を取柄にご対応させていただいております。 また、スタートアップを応援したいという想いの下、経営者の方と情熱をもって事業に向き合ってまいります。 小さなお悩みから、相談しにくいような内容まで、お気軽にご相談ください。
20年後より良い日本に導くために働いている
私は現在57歳で、5歳と7歳の2児の父です。結婚が遅く、48歳の時に1人、50歳にもう1人子供を授かりました。私の仕事のポリシーや生きる使命は、大げさに言えば、息子たちが社会人になる20年後に、より良い日本であってほしいという思いで働いています。
素晴らしいですね。
私が大学を卒業したのは平成元年、バブルの絶頂期で、夢にあふれた時代でした。当時、日本は世界のトップに立っていて、私もその時代の恩恵を受けてきました。しかし、現在の日本は円安や少子高齢化の影響で、若者の活気が不足しているように感じます。そのため、今後20年のうちに、微力ながら日本をより良い方向に導くために尽力したいと考えています。
私は最初、山一證券に入社し、10年間個人営業をしていましたが、会社が倒産してしまいました。それが31歳の時です。その後、メリルリンチという外資系証券会社に3年間勤務しました。この時に考えたのが2つのことです。
1つ目は、証券会社の手数料が自由化され、今までのようには稼げなくなると感じたことです。ネット証券の登場で、手数料が劇的に安くなり、将来的には今の仕事がなくなるのではないかという危機感を覚えました。
2つ目は、山一證券が倒産した際、どんなに優秀な営業マンでも35歳を過ぎると再就職が難しいという現実を目の当たりにしたことです。日本社会では35歳以上になると取り返しがつかなくなるという現実を感じ、34歳の時に何か資格を取ろうと決心しました。それで公認会計士の勉強を始めました。
結局、1年で合格するつもりが5年かかり、39歳でようやく資格を取得しました。公認会計士として監査法人トーマツに入り、約13年間、主に銀行監査や中小企業の再生支援プロジェクトに携わりました。
当事務所では「企業顧問」と「相続税」の2本柱でサービスを提供しています。企業顧問については、主に小規模企業を対象にしており、スタートアップが多いです。企業設立の段階からサポートしています。
相続に関しては、少子高齢化の影響で相続の相談が増えています。オーナー企業の経営者が高齢になり、事業承継を絡めた相続税対策が必要となっているのです。最初は相続業務を行う予定はなかったのですが、相談が多いため対応することにしました。現在、事務所の業務は相続が半分、企業顧問が半分といった割合になっています。
帳簿管理を税理士に丸投げしている経営者は赤字経営に陥りやすい
そうですね、私の強みは、前職のトーマツで銀行監査や企業再生支援を行っていた経験にあります。銀行監査においては、融資に関する銀行の目線を、現場から本社の視点まで熟知しています。ですから、どのような会社が融資を受けやすいか、どういう風に話を進めれば良いかについてアドバイスできます。
もう1つは、企業再生支援です。約6年の間に150社以上の企業を担当し、そのうち半分以上を黒字にしました。赤字経営をする中小企業の社長が陥りやすいポイントをよく理解しているつもりです。
差し支えなければ、赤字に陥りやすいポイントをご教示いただけますか?
会社経営においては、人、物、金が3大要素とされています。特に中小企業では、物に特化している方が多い印象です。例えば、起業したばかりの零細企業では従業員がいないことが多く、家族やアルバイト1人で運営しているケースもあります。そのため、物を売ることに特化してしまいがちです。
従業員を雇うと、人の育成が必要になり、それは皆さんやります。しかし、金の管理については、経営者が通帳を見て頭の中で資金繰りを計算している場合が多いんです。これは経営者としてよろしくないパターンです。実際に紙に書いて出していくことで、半年先、1年先の資金繰りを見通すことが重要です。これができていない経営者が多いんです。
もう1つの問題は、自分で帳簿をつけない経営者です。多くの中小企業では、帳簿管理を税理士に任せてしまっている。これでは、今の資金繰り状況や過去の状況をきちんと把握できません。
前職で東北の企業支援を行った時、東日本大震災で被災した中小企業の支援を行いました。その際、企業の事業計画書を作っても、経営者自身がその計画を理解していないことが多かったです。自分で帳簿をつけ、事業計画を作ることが重要だと感じました。
なるほど。
だから、私の事務所では記帳代行は一切受け付けません。記帳はご自身で行っていただきます。もちろん、最初は複式簿記も分からないと思いますので、質問があれば徹底的に教えます。真面目に1年やれば、大抵の人は帳簿管理ができるようになります。そして、分かった上で従業員に帳簿をつけさせるのなら良いのですが、全く分からないまま人に任せるのは経営者としてはよろしくない。
私の好きな言葉に「型」というものがあります。型を分かっている人が型を崩すのは「型破り」ですが、型ができていない人が崩してしまうのは「型無し」です。帳簿をつけたことのない人が、全てを他人に任せてしまうのは「経営者として型無し」です。
教えることもできないですもんね、そういう方は。
そうです。教えることもできませんし、銀行からの質問に対しても適切な回答ができません。その結果、お金も貸してくれない。良いことが一つもないんです。もし自分が天才ではないと思うのなら、きちんと基礎を固めることが大切です。
業種は本当に様々ですね。ソフト会社、不動産、飲食、コンサル系、士業、工場、建設など、多岐にわたります。ただ、規模としてはやはり小規模の企業が多いです。
売り上げの規模ではいくらが多いですか?
年商1億前後が多いですね。
従業員の規模はどのくらいですか?
家族経営から数人規模の企業が多いです。10人を超える会社は少ないですね。今、約40〜50社の顧問をしていますが、従業員50人の会社は1社くらいです。10人を超えている会社も数えるほどです。基本的には家族経営、もしくは従業員数名のこれから頑張るぞというお客様が多いですね。
そうですね、僕はスピードよりも丁寧な仕事とクオリティを重視しています。好きな言葉に「悪魔は細部に宿る」というものがあります。細かいところでも「あれ?」と思ったことは放置せずにしっかり対処します。大体「あれ?」というところにエラーがあるので、細部を丁寧にやることが重要だと思っています。
なるほど、細部にどちらかの顔が出ると。最後に良い結果を得るためには、途中の「あれ?」を見過ごさないということですね。
そうです。これは監査をやっていた経験から来ています。「あれ?」と思ったことを放置しておくと、そこが重大なエラーになることが多いんです。経験上、痛い思いをしているので、細部を丁寧にすることが大切です。
会計士、税理士として嬉しかったエピソードは、やはり仕事が終わった時に「ありがとう」と言われることですね。こちらがきちんと対応できたときに感謝されるのが一番嬉しいです。月並みですが、それに尽きます。
お客様にとって、会計士や税理士は2つの存在意義があると思います。 一つ目は、その分野の専門家として、何でも知っている存在。お客様はその分野で相談すれば解決してもらえると信頼しています。
二つ目は、税金に関するニーズに応える存在。お客様の中には税金を少なくしてほしいという要望を持つ方もいます。私は節税は当然だと思っていますが、脱税の相談をされる方はお客様にしません。申告なども最も安いと考えられる計算をしていますが、法令の解釈やグレーゾーンを攻める場合にはリスクを伴います。お客様にはリスクを理解してもらい、公正な税務申告を心がけています。
例えば「家族旅行を旅費交通費として入れてくれ」とか。それはダメですよと伝えています。
休日は子供と遊んでいます。サッカーをしたり、海に行くことが多いですね。
起業・開業は覚悟を持って取り組むことが大事
今、私は57歳なので、真剣に後継者を育てなければいけないと考えています。現在、僕と社員の1人の2人体制で仕事をしていますが、その社員は資格を取るまでの考えはないので、このままでは今の顧問先の50社が困るのではないかと思っています。
友人からは「別にお前じゃなくても誰でもいいじゃん」と言われることもありますが、僕はそういう考えが嫌なんです。また、税理士業界には営業が苦手な人が多い印象があります。営業経験のない方が多いので、経験を積ませながら、芽を摘まないようにしています。
税理士の中には、職員を外に出さないようにする人もいます。例えば、税理士資格を1科目以上取らせないようにするなど、独立されるのを恐れてのことです。しかし、私はそうは考えておらず、独立しても構わないと思っています。今後は一人でやっていくよりも、組織を大きくして、特に後継者を育てていきたいと思っています。
後継者を見つけて育て、顧問先の成長にもコミットするということですね。
起業・開業は思い立ったらすぐにやった方がいいと思います。ただし、覚悟を持って取り組むことが大事です。やることをきちんとやれば、私が知っている限りでは、ほぼ9割の人が成功しています。失敗する人は「楽をして稼ぎたい」と思っている人が多いです。効率化を図るというのも、言葉を悪く言えば楽をして稼ぎたいということです。
そのあたりのさじ加減がわかっている方は、ぜひ起業した方がいいと思います。環境が変われば視点も変わります。視点が変われば生活や世の中に対する見方も変わり、友達も変わってきます。起業・開業すると、周りに経営者が増えてきます。なぜかというと、立場が変わらないと人は本気で理解できないからです。
例えば、アフリカの砂漠に行ってみたいと画面で見るといいなと思うかもしれませんが、実際に行ってみると暑い、寒い、乾燥している、臭い、トイレがないといった現実が待っています。そういったことも含めて、立場にならないと見えない世界があるので、興味があってやりたいと思うなら、人生は一度きりですので、ぜひチャレンジしてみてください。
本日は貴重なお話をありがとうございました!