【クリエイターの著作権分野のプロ】東京都千代田区の法律事務所アルシエン・河野冬樹さんにインタビュー

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話し手のプロフィール

弁護士|法律事務所アルシエン

河野 冬樹

かわの ふゆき

プロフィール

第一東京弁護士会所属。東京都千代田区にある法律事務所アルシエンにて弁護士をしております。 専門は著作権関係。 【経歴】2006年 麻布高等学校 卒業 →2010年一橋大学法学部 卒業→2012年一橋大学法科大学院 卒業→2013年最高裁判所司法研修所 入所 →2014年最高裁判所司法研修所 修了(67期)→2018年1月都内の法律事務所を退所し、法律事務所アルシエン 入所→2022年9月現在に至る

クリエイターの著作権分野を専門とする弁護士は一人しかいなかった。

河野先生について教えて下さい

河野さん
河野さん

私は法律事務所アルシエンで、作家や漫画家の著作権のお仕事をメインで担当しています。大学時代に出版社や広告会社の方々と様々な活動をしてきました。そのご縁が今も続いておりまして、作家や漫画家さんからの依頼を受けることが多いです。

弁護士を目指したきっかけについてお聞かせください。

河野さん
河野さん

元々、家が法律関係の家庭で育ったことが大きな理由です。それに加えて、作家さんの著作権を担当する弁護士がほとんどいないという話を聞いたことも影響しました。率直に言うと、僕が弁護士になったとしても、クリエイターの著作権分野を専門とする弁護士の名前を聞くことはほとんどなかったんです。

河野さん
河野さん

その中で唯一聞いた人も、出版社の出身であり、出版関連の業務に強いとされる方でした。しかし、弁護士としての仕事は通常、両当事者にそれぞれの弁護士がつくことが前提です。ですから、1人しかいないということは、その分野に専門の人材が不足しているということと同じですよね。

 青木
青木

確かに。裁判が成立しないってことですよね。

河野さん
河野さん

そうなんですよ。なのでやってみたくなったのが理由としてありますね。

河野先生の力を入れているサービスを教えてください。

河野さん
河野さん

特に著作権関連のサービスに力を注いでいます。私のスタイルとしては、出版社などを通じて仕事を受けるよりも、直接作家さんとSNSなどでつながり、そこから直接顧問契約を結んだり、個人向けに契約を締結したりすることが多いです。このようなアプローチは比較的珍しいかもしれませんが、私はこの分野に力を入れています。

会社役員経験を活かして、著作権と商標申請に関するサービスを展開

河野先生ならではの強みについてお聞かせください。

河野さん
河野さん

著作権関連の分野には、かなりの経験がありますし、自信を持っています。創業当初から商標を取得しようとする会社が増えてきた中で、商標関連の対応も可能です。商標申請に関するサービスはもちろんですが、取得すべきかどうかの戦略的な相談も得意としています。会社の役員を務めた経験もあり、そういった視点からもサポートできることが強みだと思います。

河野先生の力を入れているサービスを教えてください。

河野さん
河野さん

特に著作権関連のサービスに力を注いでいます。私のスタイルとしては、出版社などを通じて仕事を受けるよりも、直接作家さんとSNSなどでつながり、そこから直接顧問契約を結んだり、個人向けに契約を締結したりすることが多いです。このようなアプローチは比較的珍しいかもしれませんが、私はこの分野に力を入れています。

お客様はどういった方が多いですか。

河野さん
河野さん

先ほども話しましたが、作家さんや、漫画家さんが多いです。

お客様とやり取りを行う際に心がけていることはありますか。

河野さん
河野さん

別に職業蔑視とかそういう意味で言っているわけではありませんが、作家さんや漫画家さんといった方々は、一般の方とは異なる部分があります。言いづらいですが、法律用語に馴染みがない方が非常に多いです。そのため、あまり法律用語を使わず、必要な場合は適切な意味も含めて丁寧に説明することを心がけています。

弁護士として活動してきた中で嬉しかったエピソードをひとつ教えてください。

河野さん
河野さん

もちろん、この仕事では判決が出ると勝ち負けがはっきりするので、勝利の瞬間は嬉しいです。しかし、特にこの分野では、自分が関わった著作物やコンテンツが世に出る瞬間もまた嬉しいものです。たとえば、著作権に関する問題がありそれがうまく解決されて、その作品が書店に並んでるのを見る時は本当に嬉しいですね。

経営者にとって、弁護士はどんな存在であると思いますか?

河野さん
河野さん

 経営者に限らず、一般的に言えば、弁護士はあまり良いイメージがない職業の一つだと思います。特に個人の場合、警察に厄介になったり、クレジットカードで破産したりといった理由で弁護士を頼むことは、あまり良いことではないですよね。離婚裁判などもそうですね。

河野さん
河野さん

しかし、経営者の場合はポジティブなご相談も日常的にあります。たとえば、ウェブ小説を連載し、それが書籍化の機会に結びついた場合、契約書を見てもらったりすることは普通のことです。そのようなご相談はポジティブな相談ですし、そういった点から、経営者にとっては弁護士との付き合いは必ずしも悪いことではないと思います。

休日はどのように過ごしていますか?

河野さん
河野さん

休日は法律とは関係のない漫画や小説を読んだりして過ごしています。 

今後の展望についてお聞かせください。

河野さん
河野さん

実は、ちょうど今、結構厄介だなと思った著作権とAIの問題がありまして。別にAI自体を全て否定するべきだとは思ってないんですけれども、今って実は結構著作権、まだまだ、ネット上は特にそうなんですけど、無法地帯なんですよね。

河野さん
河野さん

この間もちょうどニュースになってたんで、マンガ村の事件とか思い出される方いるかもしれないのですが。まだぶっちゃけあります。マンガ村っていう名前ではないけれども、はっきり言って探そうと思ったら探せます。

それってどういう状況かっていうと、単に著作権侵害されてるとかじゃなくって、著作者が自分の著作物の流通コントロールできてない状況だっていうことが問題だと思っていて。

河野さん
河野さん

そんな状況が続くと、自分の作品がAIの学習対象になるのが嫌だと思っても防ぎようがないんですよ。 別に防ごうと思ったら、理屈としては、例えば自分のホームページだけで公開して、例えば学習できないような技術的措置を取ることもできますし。極端なことを言えば、利用規約でAIの学習に使うのはダメですという風にやれば終わる話ではあるんですが、結局無断転載されてしまうと、無断転載先がそんな利用規約そのまま引き継いでくれるわけがないので。実際そういうことが行われてない前提であれば、今の法律はそれなりには機能しているかもしれないですが。

河野さん
河野さん

となると、無断転載問題や海賊版サイトなど、そういった問題にも取り組んでいかないといけなくなるだろうなと思ってます。今までみたいに、「良心ある人は正規盤を買ってくれるだろう」みたいな、そういうレベルの話ともまたちょっと違ってくるだろうと思ってます。そして、 実はそういったものに対応するサービスを始めようかと思っています。

 青木
青木

それは河野さん個人が提供するサービスということですか。

河野さん
河野さん

そうです。若干補足すると、アメリカの著作権法でDMCAっていうのがあって、元々外国のアメリカのプラットフォームとかだと、申請を受けたら一旦とにかく消さなきゃいけないと。で、逆に相手がそれ人間だったら、自分の住所や連絡先をオープンにしなさいという形になるんですね。

逆にそうなっちゃえば、相手が分かっているわけなので、サイバーの中で当事者同士勝手にやり合ってくれという話なので。結構簡易だから消そうと思ったら消せるんですよ。

河野さん
河野さん

ただ、これを恐らく弁護士以外の人がやろうとするとちょっとトラップがありまして。そのためにはペンネームとかでやってる人が自分の連絡先とかを書いて出さないといけないんですよ。そうじゃないと連絡をもらいようがない。なので個人では難しい。

いずれにせよ、出版社や事業会社であればできますが、関係のない個人がやろうと思ったら、実際には無理なんですよね。「海賊版を運営しているような相手に自分の個人情報を教えて下さい」って。できるわけないですよね。

それを弁護士が代行すれば、その壁はクリアできると思います。海賊版は海賊版なんだからいけるんじゃないかなと個人的には今思ってるとこなんですけどね。

 青木
青木

楽しみにしてます。海賊版に一石を投じてほしいです。

起業したら「自分の身は自分で守るしかない」

最後にこれから起業・独立開業する人に向けてメッセージをお願いします。

河野さん
河野さん

作家さんとか漫画家さんもある意味独立している個人なので。そういった人たちも含めての話ではあるんですけれども、 日本の法律って労働者と消費者にはすごく優しいんですよ。

労働者は解雇できないとか。基本的には消費者を騙すようなことはいけませんとか。もし騙されて契約したとしても、一定の場合は少なくとも取り消し権ありますとか。特定商取引法とか、取引契約法などが充実しているんですよね。

河野さん
河野さん

それは、裏を返せば、「起業とか独立するっていうことが労働者でも消費者でもなくなるっていうことだと思ってるんですよ。つまりは、例えば「法律を知りませんでした」だったりとか、そういった要件は基本的には通用しない。

自分の身は自分で守るしかないわけだし。 では、その自分の身を自分で守ろうっていう中で、弁護士っていうのは、さっきまでちょっと言いましたけれども転ばぬ先の杖として、1度気軽に相談できる相手として持ってくと非常に有用なので、ぜひ気軽にご利用いただければなと思います。

 青木
青木

非常に分かりやすくとても勉強になりました。その背景も理解した上で挑戦するべきだと思いました。

河野さん
河野さん

逆にそれを知らずに副業感覚でやってトラブルになる人というのが後を絶たないので、心の叫びだったりもします。

 青木
青木

本日は貴重なお話をありがとうございました!

【取材先】法律事務所アルシエン

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