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会社設立の手続きで最も神経を使うのが、登記申請に必要な書類の準備です。ひとつでも欠ければ申請は受理されず、不備があれば差し戻されます。僕自身、最初の会社設立では法人実印を作り忘れ、印鑑届出書が出せず再申請になったことがあります。
本記事では、株式会社・合同会社の登記で必要な書類を網羅し、それぞれの役割・必要性・入手方法・作成ポイントまで僕の実体験も交えながらお伝えします。詳しく解説します。
記事の最後には全必要書類を一目でチェックできるダウンロード可能なチェックリスト画像も用意しました。複雑な書類準備をこのチェックリストで完全サポートします。
【全体像】会社設立の登記申請で必要になる書類一覧
まず、株式会社と合同会社それぞれの設立登記で必要となる主な書類を一覧で整理します(両者とも法務局での登記申請が必要です)。
株式会社(株式會社)の場合と合同会社(LLC)の場合で必要書類に若干の違いがあります。以下に必ず提出が必要な書類と、会社の状況によって提出が必要になる書類をまとめました。

株式会社の設立登記で必ず提出する8つの書類
必須で提出する書類 | 概要 |
---|---|
設立登記申請書 | 商号(会社名)、本店所在地、資本金額など基本情報を記載する申請書 |
登録免許税の収入印紙貼付台紙 | 登録免許税(株式会社の場合資本金×0.7%、最低15万円)相当の収入印紙を貼り付ける台紙 |
登記すべき事項 | 登記すべき会社情報をまとめた書類またはデータ(用紙別紙に記載するかCDなどで提出) |
定款(ていかん) | 会社の基本規則を定めた書類(公証役場での認証済み原本) |
設立時役員の就任承諾書 | 取締役・代表取締役・監査役など就任した役員本人がその役職を引き受けることを承諾した旨の書面 |
資本金の払込証明書 | 定款に定めた資本金が発起人より指定口座に払込まれたことを証明する書類(通帳のコピーを添付) |
印鑑届出書 | 会社の実印(代表者印)を法務局に登録するための届出書 |
印鑑証明書 | 発起人や設立時取締役などの実印が市区町村に登録されたものであることを証明する書類(発行後3ヶ月以内のもの) |
株式会社の設立登記で場合により必要となる書類
追加で求められる書類 | 概要 |
---|---|
発起人の決定書 | 本店住所(番地まで)や設立時取締役・資本金額などを発起人全員の合意で決定したことを証明する書類。定款に詳細を記載済みの場合は不要。 |
代表取締役の就任承諾書 | 取締役会非設置会社で取締役が複数いる場合などに、代表取締役へ就任することを承諾した旨を示す書類。取締役が1名のみの場合はその者が自動的に代表となるため不要。 |
監査役の就任承諾書 | 登記すべき会社情報をまとめた書類またはデータ(用紙別紙に記載するかCDなどで提出) |
定款(ていかん) | 監査役を置く場合に、その就任を承諾したことを示す書類。会社の機関設計によっては監査役自体を置かないこともでき、その場合不要。 |
取締役全員の印鑑証明書 | 取締役会を置かない会社では、代表者以外の設立時取締役全員の個人の印鑑証明書も提出が必要です。取締役会を設置する場合は代表取締役の印鑑証明書のみで足ります。 |
委任状 | 手続きを司法書士等の代理人に依頼する場合に必要となる書類(自分で申請する場合は不要)。 |
合同会社の設立登記で必ず提出する9つの書類
必須で提出する書類 | 概要 |
---|---|
合同会社設立登記申請書 | 商号(会社名)、本店所在地、資本金額など基本情報を記載する申請書 |
登録免許税の収入印紙貼付台紙 | 合同会社の登録免許税は「資本金×0.7%、最低6万円」 |
定款(ていかん) | 合同会社の場合、定款認証は不要 |
代表社員、本店所在地及び 資本金を決定したことを証明する書面 | 合同会社特有の書類 |
代表社員の就任承諾書 | 代表社員(業務執行社員のうち代表権者)がその職に就くことを承諾した旨を記した書面(本人の実印で押印)。 |
代表社員の印鑑証明書 | 代表社員の実印が市区町村に登録済みであることを証明する書類(発行から3か月以内が目安)。 |
資本金の払込証明書 | 定款に定めた資本金が発起人より指定口座に払込まれたことを証明する書類(通帳のコピーを添付) |
印鑑届出書 | 会社の実印(代表者印)を法務局に登録するための届出書 |
委任状(必要に応じて) | 代理人に依頼する場合は必要 |
出資者が法人の場合の登記事項証明書や職務執行者選任関係書類、資本金の額の計上に関する代表社員の証明書などが該当します。これらは特殊なケースのため、該当する場合に個別に準備しましょう。
- いずれの会社形態でも、上記「必ず必要な書類」は漏れなく全て準備する必要があります。また、「場合によって必要となる書類」は自社の状況に応じて要否を事前に確認し、不足がないようにしましょう。
以下では、株式会社のケースを中心に各書類の役割・入手方法・作成ポイントをステップごとに詳しく解説します(適宜、合同会社の場合の違いにも触れます)。
ステップ1:定款の作成と認証で必要な書類
会社の“憲法”を固める段階です。ここが整っていると、後続の書類がブレません。
株式会社は公証役場での認証が必須、合同会社は不要です。
定款
定款は商号・事業目的・本店所在地・機関設計など、会社の根っこを定める文書です。株式会社は公証役場で認証が必須。ここでの判断がのちの変更コストに直結します。

事業目的は「広く・過不足なく」です。将来やる可能性のある領域も入れておくと、後日の目的追加を避けやすいです。(例:「インターネットを利用した各種情報提供サービス」「前各号に附帯関連する一切の業務」)。
ただし許認可が必要な事業は、実際の申請に耐える表現にしておくと後の手戻りを防げます。
電子定款なら印紙税4万円が不要(電子署名と対応環境が必要)。
発起人の印鑑証明書
発起人や設立時役員の実印が市区町村に登録されていることを証明する書類です。定款認証や登記申請の際に必要になります。

僕は以前、早く取りすぎて3か月を超え、取り直しになりました…。直前にまとめて取るのが正解。
- 入手: 市区町村窓口 or マイナカード対応コンビニ。概ね1通300円前後。
- 人数: 取締役会の有無で変動。機関設計を先に固めてから手配。
- 期限:発行後3か月以内が目安。申請直前に取得を。
委任状(専門家依頼時のみ)
司法書士・行政書士に手続きを委任する場合に必要です。自力でいくなら不要ですが、スピードと確実性を優先するなら、僕は委任派です。
雛形は専門家が用意してくれることが多いので、原案チェックを忘れずに。
ステップ2:登記申請書と添付書類の作成
ここが法務局へ提出するメインの書類群です。各書類の役割と作成ポイントを詳しく解説します。
登記申請書

会社の基本事項、登録免許税額、添付書類一覧を記載する“表紙”に当たる書類です。株式会社用/合同会社用で様式が異なります。
- 「登記すべき事項」は別紙(テキスト)またはCD等の電子媒体で添付可能です。
- 定款の内容と矛盾がないかを最終チェック。オンライン申請はフォーム入力+PDF添付+電子納付で完結します。
- 電子申請なら紙の申請書・印紙が不要で、電子納付に。準備は必要ですが、慣れると便利です。
- はじめてオンラインで申請する場合は、代表者の電子証明書(マイナンバーカードまたはA社等の認証局発行ICカード)とICカードリーダー、登記・供託オンライン申請システムへの事前登録が必要です。PDFは解像度300dpi程度・白黒推奨、文字のつぶれを避けるためスキャン時の傾き補正を行いましょう。ファイル名は半角英数字・アンダースコアを基本にするとトラブルを避けられます。
登録免許税の収入印紙貼付台紙
登録免許税を収入印紙で納付し、台紙に貼って提出します。
- 金額
株式会社=資本金の0.7%(最低15万円)/合同会社=0.7%(最低6万円)。 - 貼付のコツ
複数枚の組み合わせでOK。自分で消印しない(法務局で消印)。

電子申請なら印紙は不要です(電子納付)。
登記すべき事項(別紙または電子データ)
目的・役員・本店など、登記事項をまとめた別紙(またはデータ)。定款や決定書と齟齬があると差し戻されます。
- チェック: 商号の表記揺れ/住所の番地抜け/氏名の旧字体など。
- 効率化: 定款原稿からコピペし、差分だけ編集。僕はこれでケアレスミスを激減できました。
発起人の決定書
定款に本店を市区町村までしか書いていない場合、番地やビル名を発起人の決議で確定します。作り方は発起人全員の合意を記録し、署名(記名)押印します。公告方法等をあわせて定めることもあります。
役員の就任承諾書
就任の意思を示す書類です。取締役・代表取締役・監査役など、役職ごとに分けるのが安全です。一人会社では取締役が1名なるので、自動的に本人が代表となり、代表就任承諾書は不要です。
押印は必ず実印でしましょう。必要に応じて役員個人の印鑑証明書を求められることもあります。
代表取締役の印鑑証明書
代表取締役(個人)の印鑑証明書です。取締役会設置会社では代表者分、非設置会社では取締役全員分を求められる運用が残ることもあります。

3か月を超えがちなので、定款認証のスケジュールに合わせて取得タイミングを調整してください。
資本金の払込証明書
資本金が定款どおり払い込まれたことの証明。会社口座はまだ開けないので、発起人の個人口座で一時受けします。
手順の流れ
- 定款認証後に払込
- 通帳の「表紙/口座情報ページ/入金記録ページ」をコピー
- 証明文を付けて代表者印で押印。
定款認証前の入金は無効扱いになるリスクがあります。認証後に払込をする順番を徹底しましょう。
印鑑届出書(超重要)
会社の実印(代表者印)を法務局に登録するための届出書。これを出しておけば、銀行や取引先が求める「法人の印鑑証明書」をすぐ取得できます。実務では設立登記と同時提出が一般的です。
この届書を出すには法人実印の現物が必要です。つまり、印鑑届出書の作成前に法人用の印鑑を作っておかなければなりません。
契約・銀行・各種手続きで長く使う“会社の顔”。材質・サイズ・書体をよく比較して選びましょう。失敗しない選び方と作成先は、以下の記事で詳しく解説しています。

【ダウンロード可】会社設立の必要書類 完全チェックリスト
ここまでの内容を、実務でそのまま使えるチェックリストに集約しました。印刷して机に置き、上から順に潰していくのがおすすめです。

まとめ:書類準備を完璧にして、スムーズな会社設立を
本記事では会社設立に必要な書類を解説しました。定款に始まり、決定書・就任承諾書・払込証明・申請書・印鑑届書までこの記事のチェックリストを使えば、これから初めて起業する方でも順番通りに書類を準備すれば必ずヌケモレなく準備できます。
特に法人印鑑の準備は最優先です。迷ったら法人印鑑の選び方 完全ガイドを先にチェックして、後悔のない一本を用意してから進めましょう。
もし「自分で全部は不安」という場合は、専門家の手を借りるのが最短ルートです。タチアゲの起業コーディネートサービスなら、書類づくりから登記申請、その後の届出まで並走支援しています。最短距離でスタートラインに立てるよう、全力でサポートします。
ここまで整えば、あとは提出するだけ。この記事とチェックリストを相棒に、迷いなく進めていきましょう!