法人印鑑の「使い分け」完全ガイド|代表者印・銀行印・角印・ゴム印の役割と実務ルール

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会社を登記した瞬間から、「この書類、どのハンコを押すの?」が日常になります。代表者印(会社実印)、銀行印、角印、ゴム印と。言葉は知っていても、いつ・誰が・どの書類に使うのかが曖昧だと、承認の滞留やセキュリティ事故にもつながりかねません。

そこで本記事では、種類別の役割・法的な前提・現場で迷わない運用ルールまで「法人印鑑の使い分け」について解説しますので起業準備にご活用ください。

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法人印鑑の全体像と“使い分け”の必要性

会社を設立した直後から、契約書、請求書、銀行手続き、役所の申請など、さまざまな場面で「押印」が求められます。

代表者印(会社実印)、銀行印、角印(社印)、ゴム印(住所印)など複数の印鑑が存在しますが、それぞれの役割や使うタイミングを理解しないまま運用すると、業務の停滞やセキュリティリスクが発生します。

株式会社タチアゲ代表 青木
株式会社タチアゲ代表 青木

僕自身、起業初年度は「どの印を何に押すか」が分かっておらず、銀行やオフィスの契約締結の際に持っていかないといけない印鑑を忘れて契約が遅れたりした経験がありました。

起業準備の段階から印鑑の使い分けを理解しておくと、事業運営後から困ることが減ります。

代表的な種類と役割

代表者印(会社実印)

会社の“署名”にあたる最重要印。重要契約や登記に使用。

銀行印

資金管理専用。口座開設や振込、融資契約に使用。

角印(社印)

請求書・見積書・領収書など社外文書の発行に使用。

ゴム印(住所印)

住所や社名を一括表示する事務用。契約効力は持たない。

各印鑑の選び方やおすすめの購入先については、【2025年版】法人印鑑作成ガイド|3点セットのおすすめは?種類や書体の決め方から即日で安いサイトまでプロが徹底比較で詳しく解説しています。

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代表者印(会社実印)

設立登記、重要契約、不動産取引、官公庁への許認可申請など、社会的・法的に重い手続きで必ず必要になります。

登録できるサイズは1cm超〜3cm以内で、実務では直径18〜20mmの丸印が使いやすいです。シャチハタは登録不可です。

 青木
青木

代表者印は日常的に持ち歩かず、会社認印で代替できる場面では必ず代替。僕は金庫に保管し、持ち出す時は必ず記録を残すようにしています。

主な用途

  • 設立登記の印鑑届
  • 重要契約や融資契約
  • 官公庁への申請書類

銀行印:お金の入口と出口を守る

銀行印は、法人口座の開設や振込、融資契約など、お金の出入りに関するあらゆる場面で使います。代表者印との兼用も可能ですが、紛失時のリスクや業務停滞を防ぐため、別印を用意するのが基本です。


僕は銀行ごとに印鑑を分け、印箱に銀行名をラベルで明記しています。これだけで誤押印や印影照合のトラブルを避けられます。

 青木
青木

銀行印を代表者印と兼用していると、もしもの時に資金が動かせなくなるリスクが一気に高まります。小さな出費で大きな安心を買えるので、分ける価値は十分あります。

主な用途

  • 法人口座開設
  • 振込・出金手続き
  • 融資や借入契約

角印(社印)とゴム印(住所印):日常業務の即戦力

角印は請求書や見積書、領収書など、社外文書の正式発行を示すために使います。登記は不要で認印扱いですが、押し方や書類の内容によっては実印同様の効力を持つ場合があるため、乱用は避けるべき印鑑です。

ゴム印は住所や社名などの表示作業を省力化できる便利な道具ですが、契約の効力はないため重要文書では使いません。

 青木
青木

僕は角印の管理を軽く見ていた時期がありましたが、社外から「白紙に押された角印が流出した」と聞いてゾッとしました。それ以来、保管と使用記録を徹底しています。

運用のコツ

  • 社外文書=角印、住所や社名の表示=ゴム印
  • 白紙書類への押印は厳禁
  • 使用後は必ず所定の場所へ戻す

電子契約との併用

電子契約が普及しても、銀行や一部行政手続きでは物理印鑑が必須です。電子と紙の契約を明確に棲み分ける社内ルールを作ることで、差し戻しや手戻りを防げます。

 青木
青木

僕は基本は「電子契約」で押印することにしています。とはいえ、取引先が大きい会社ほど、未だに「紙契約」の会社が多いため、「この案件は紙契約」という例外リストを作っておいてます。従業員数が一桁代の規模が小さいうちは問題ないとは思いますが。

書類別・使用する印鑑の早見表

法人印鑑は、「どの書類にどの印鑑を押すか」を明確にしておくことで、押印ミスや承認遅延を防げます。特に複数人で事務作業を行う会社では、担当者ごとに解釈が違ってしまい、意図しない印鑑が押されるケースも少なくありません。

下の早見表は、僕が実際に社内で運用しているものをベースに作りました。用途と注意点を併せて確認し、会社ごとにカスタマイズして活用してください。

書類・シーン使用する印鑑主な理由・注意点
会社設立登記書類
重要契約書
(不動産・M&Aなど)
・官公庁提出書類
代表者印法務局登録済みの実印と印鑑証明書が必要になる。原則、社長本人か権限委任を受けた役員のみ使用。紛失リスク防止のため金庫管理必須。
口座開設
振込依頼書
出金依頼書
融資契約書
手形 / 小切手
銀行印金融機関届出印として資金移動を承認する役割。代表者印との兼用は避け、銀行別に印鑑を分けると安全。
・請求書
見積書
領収書
注文書
社外通知文
角印(社印)
社名入りで文書の発行元を明示。法的には認印だが、書類内容によっては実印並みの効力を持つため、安易な多用は避ける。
封筒の差出人欄
送り状
社名
住所記載欄
軽微な申請書

ゴム印(住所印)
住所や会社名などの記載作業を省力化。契約効力はないため、重要書類には使わない。用途は事務作業に限定。

よくある質問

Q1. 代表者印と銀行印は兼用できますか?

A. 法的には可能ですが、紛失時のリスクと業務停滞の影響が大きいため別印を用意するのが安全です。特に金融機関の手続きや資金移動に関わるため、兼用はおすすめしません。

Q2. 角印だけで契約書を交わしても大丈夫ですか?


A. 角印自体は法的には認印扱いですが、契約の有効性は書類全体や合意の有無で判断されます。重要契約では必ず代表者印を使用し、印鑑証明書も添付しましょう

Q3. ゴム印は必須ですか?

A. 必須ではありませんが、封筒や申請書の住所・社名記入を効率化できます。ただし契約効力はないため、重要書類の主印には使わないことが原則です。

Q4. シャチハタは使えますか?


A. 代表者印としては使えません。印影の鮮明さや耐久性が不足しており、法務局の登録や銀行の届出印には適しません。

Q5. 印鑑のサイズや仕様にルールはありますか?

A. 商業登記規則で1cm超〜3cm以内の正方形に収まることが定められています。一般的には直径18〜20mmの丸印が主流です。

まとめ

最後に本記事の要点を3つにまとめます。

本記事のまとめ

法人印鑑の使い分け
  1. 代表者印=重要契約/銀行印=金融手続/角印=対外文書/ゴム印=表示が基本の使い分け。
  2. 代表者印と銀行印は分離し、代表者印は厳重保管+露出最小化。サイズは1~3cmルールを厳守。
  3. 電子契約が広がっても、紙+押印は当面併存棲み分け規程で差戻し・手戻りを防ぐ。

起業してからはスピードが命です。迷わない押印運用は、そのまま意思決定の速さに直結します。もし「会社設立」で詰まったら、タチアゲ起業コーディネートで専門家に一度相談してみてください。最短経路を一緒に描きましょう。