【資金調達とは何か?】起業を考えたら読みたいはじめての資金調達ガイド

起業を考えたら読みたいはじめての資金調達ガイド

この記事でわかること 
  1. 資金調達の種類と方法を目的別に理解できる
  2. 創業期におすすめの資金調達方法が分かる

この記事では直近7年で2社起業経験のある執筆者が、失敗しない起業の始め方・やり方をすべて無料公開します!

資金調達の全体像を知ろう!

この章では、資金調達の全体像を学びます。 会社経営において、資金調達は切っても切り離せない存在です。 資金調達の基本的な知識を身につけ、会社にとって適切な調達方法を行いましょう。

資金調達とは何か?

タチアゲくん
タチアゲくん

資金調達とは、その名の通り、外部からお金を集める行為のことだよ。 企業が資金調達を行う理由を知っているかな?

あなた
あなた
タチアゲくん
タチアゲくん

正解!ただ企業がお金に困って資金調達を行うケースは一部。より大きな設備や優れた人材を確保すること。新たな工場や店舗を増やして事業拡大を図ることに資金を投資するのが一般的だよ。また、資金が必要でもない企業が資金調達を行うケースがあるけど、これは返済実績を沢山作ることで、銀行側から「安心して貸出ができる相手」という信頼を得るためでもあるよ。

あなた
あなた

資金調達とは、外部から自社の経営に必要な運転資金や設備資金を調達することを指します。ベンチャー企業やスタートアップ企業の場合、事業をスタートしたばかりの頃は利益がほぼ出せません。そのため、プロダクトやサービスを開発するための資金を調達する必要があるのです。

資調調達の方法は?

資金調達の方法は、大きく分けて3つあります。  

  1. 【負債を増やす】デットファイナンス(融資):利息をのせた金額を分割で毎月返済する必要がある
  2. 【資本を増やす】エクイティファイナンス(出資):成長度合いに応じて、株主に利益を還元する必要がある
  3. 【資産の現金化】アセットファイナンス:資産の担保価値を利用し現金化する資金調達
株式会社タチアゲ代表 青木
株式会社タチアゲ代表 青木

一般的にスモールビジネスは融資を選び、スタートアップは出資を選びます。アセットファイナンスはファクタリングと呼ばれる、請求書買い取りサービスなどがあります。

創業時は創業融資制度を使おう

創業期でも無担保・無保証で融資が受けられる『創業融資制度』を活用しましょう。 創業融資制度を実施している日本政策金融公庫は、政府が100%出資する金融機関です。 国の経済を活性化する目的で設立されたため、積極的に創業者に融資をしてくれるという特徴があります。

創業融資制度とは、無担保・無保証人で、平均1,000万円(最大3,000万円)の融資が受けれる、創業者向けの融資です。

資金調達を行う上での注意点 

この章では、資金調達を行う際の注意点について学びます。 事業を行う上で欠かすことができない資金調達ですが、資金調達自体が大きなリスクを含んでいる場合があります。 「多額のお金を借りてまで起業する必要があるのか」検討してから必ず決めましょう。

資金調達はゴールではなくスタート

あなた
あなた
タチアゲくん
タチアゲくん

事業はこれからスタートするんだよ…。出資金であれば返済義務は無いけど、そのお金は誰かの努力で生み出されたお金であることを忘れないで。投資家さんに恩を返す為にも、事業成長に調達した資金を投資していこう!

資金調達行う目的は「事業の運営に支障が起きないようにするため」です。 調達した資金を有効に活用することが、会社経営の成功角度を高めることにつながります。 不要不急の出費には慎重な姿勢で取り組む一方、事業の成長に直結する出費(投資活動)には、大胆に取り組んでいきましょう。

半年分の生活費を確保しておく

事業開始前の段階で「半年分の生活費を自己資金で確保しておく」ことが重要です。 銀行の借入金・投資家の出資金の目的は、事業に使う為の運転資金です。そのため自分の給料は事業で発生した利益から賄うことが基本スタンスになります。

しかし、創業初期の段階で早期に利益を生み出すことは非常に難しいです。 半年間は利益が発生しないことを前提に「最悪、自分の給与は無くても大丈夫な状態」にしておきましょう。

創業メンバーを集める

起業前は創業メンバーを集めることも重要です。 上図のような役割で構成されたチームは、会社経営や事業戦略に必要な分野を効率的に進められるため理想的といえます。 また金融機関への事業計画プレゼン時の、金融機関側の+に働く判断材料にもなります。

融資や出資を受ける時は慎重に

融資や出資を受ける時は「メリット・デメリットを事前に理解し将来生じるリスクを踏まえた判断」をしましょう。  

  1. 金融機関からの融資:個人保証・担保の差し入れや金利などの返済条件を確認する
  2. 投資家からの出資:出資比率や取締役の構成による、経営のハンドリング制限や、出資に見合うリターンを確認しておく

資金調達の方法と種類

この章では、資金調達の具体的な方法と種類を学びます。 資金調達を考える上で重要なことは、 「自分の会社でどんな事業を作るのか」「どのスピード感で成長していきたいのか」を考えることです。 自分の会社に適した調達方法を行いましょう。

事業スタイル別で資金調達方法は変わる

資金調達は、事業スタイルにあった方法を選びましょう。  

  1. スモールビジネス:自己資金と借入金で、自分のコントロールできる範囲で小さくゆっくり会社を成長させる
  2. スタートアップ:投資家から資金を集めて、リスクを大きく取り、IPO・バイアウトを目指す

銀行融資は貸付金の利息を受け取ることが目的。VCは投資した資金をEXITと呼ばれるIPO(株式上場)やM&A(売却)で回収することが目的。そのため、起業家の選択肢は2つ。経営者自らの手で会社を成長させたいなら銀行融資がメイン。EXITによる創業者利益を得たいなら株主出資がメイン。これが資金調達の基本になります。

方法①:自己資金

自己資金で事業をスタートすることが理想です。自己資金とは、貯金等、自分で持っているお金のことです。 金融機関から融資を受ける際に、「自己資金をどれだけ確保しているか」で、”起業への本気度” が判断され、 融資の審査に影響を受ける場合があります。そのため、自己資金は多いに越したことはありません。 一方で、事業が失敗した場合に自分の資産を失うことは覚悟しておく必要があります。

方法②:家族・知人から借りる

家族や知人から借りるパターンはよくあります。しかし、事業は必ずしも成功するとは限りません。 「必ず返済できる」という保証はないため、身近な間柄とはいえ、”お金を借りる側・貸す側” との間で、トラブルが起きやすいです。先々のトラブルを避けるためにも、借りる前の丁寧な説明や返済条件などを文書化するなど、きちんとした取り決めが必要です。

方法③:融資(負債を増やす)

「負債を増やす」とは、「いつか返さなければいけないお金」を借りてくること、つまり借金をするということです。この方法は基本的に、利息を支払うこと、元本を返すことが必要となります。具体的には、銀行への借入や債権発行などがあり、スモールビジネス向けの資金調達方法です。

■メリット

他の方法に比べると、調達先が豊富で資金を得やすい方法だといえます。また、利息の支払は税務上の損金として扱われるので、税金を抑える効果があります。

■デメリット

返済と利息の支払の分だけ、将来のキャッシュフローが減少します。また、借入した資金に応じて自己資本比率が下がるので、資金力がないと判断され、取引先などからの信用を失う可能性があります。

会社設立1年目の金融機関からの融資は、下記の2択が有力候補です。  

  1. 【日本政策金融公庫の創業融資】:中小企業や小規模事業者を支援することが目的のため、実績が無くても借りれやすい。  
  2. 【信用保証協会の制度融資】:銀行とあなたの間に第三者として入り、返済出来ない場合のリスクを銀行に代わり負ってくれる
株式会社タチアゲ代表 青木
株式会社タチアゲ代表 青木

銀行への単独での借入は、設立時の信用がない段階ではかなり厳しいため、上記の制度をフル活用しましょう。

方法④:出資(資本を増やす)

ベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家から資金を提供してもらう資金調達方法です。 投資家の目的は、投資先の企業が会社売却(バイアウト)や株式上場(IPO)をすることで、投資した金額よりも大きく資金を回収することです。VCも起業家と同じように、個人投資家や機関投資家からお金を集めてファンドを組成しています。

VCにお金を預けている投資家へのリターンの償還期限の多くが、7年、長くとも10年となっているため、VCに出資をしてもらった場合は、710年以内にバイアウトやIPOでリターンを返さなくてはいけません。 また株式(経営権)を譲渡するために、経営をコントロールされるリスクもあります。

■メリット

エクイティファイナンスは、「企業の大きな成長」見込みがあれば可能な資金調達方法です。難易度は高いですが、エクイティファイナンスで資金調達ができると大きなメリットがいくつもあります。

  1. 返済義務がない
  2. 多額の資金を調達
  3. 赤字でも調達できる

■デメリット

会社の所有者は社長ではなく株主です。エクイティファイナンスは株式(経営権)と引き換えに資本を調達する方法のため、株式を渡した方が経営に関わります。調達成功後は、最低でも投資額の5〜10倍のリターンを返すためにIPOやバイアウト等のEXIT(出口)を見据、会社成長の結果が今まで以上に求められます。

方法⑤:アセットファイナンス (資産を現金化する)

アセットファイナンスとは、アセット=資産を元手に、ファイナンス=資金調達をする方法です。「会社が既に持っている資産である不動産などの財産や在庫・利益を担保とすることでお金を集める方法です。

■メリット

アセットファイナンスは、BS(貸借対照表)から対象資産が減り、代わりに現預金が増加することなります。これにより、資産が貸借対照表から消え、代わりに優良資産である現預金が増えるため、企業価値の増大につながります。その結果、銀行借入の際の金利が低下したりするメリットを得られます。

  1. 低コストで資金調達
  2. リスクを移転できる
  3. 財務内容を改善できる

■デメリット

売却の手数料等が差し引かれるため、結果として銀行の金利よりも高い手数料を支払うことになります。それも、銀行からの借入利息は毎月払いであるところ、債権の売却手数料は一括して支払うことが基本になるため、想像以上に高い金額を取られることもあります。

株式会社タチアゲ代表 青木
株式会社タチアゲ代表 青木

代表的なアセットファイナンス方法にはファクタリングと言われる『請求書現金化サービス』などがあります。

方法⑥:補助金・助成金

補助金・助成金は、特定の条件を満たすと政府や自治体から受け取れる資金で、融資のような返済義務はありません。補助金は、経済産業省で実施されており、法人税が財源です。助成金は「雇用」に関する給付金で、厚生労働省で実施されており、雇用保険料を財源としています。

検討している場合は、下記の注意点もお読み下さい。

注意点
  1. 『審査あり』:確実に受け取れるとは限らない
  2. 『後払い清算』:一般的に半年以上受給に時間を要すので、それまでは「自己資金や借入金の補填」が必要です。

こちらの記事でも解説しています。

【最新】2024年度版!採択率の高いおすすめの補助金一覧

方法⑦:クラウドファンディング

『群衆 (クラウド)』と『資金調達 (ファンディング)』を合わせた造語です。その名の通り、不特定多数の一般人の方々から、小さなお金を広く集める方法です。インターネットやスマホの普及によって、事業者と一般消費者との資金調達 (BtoC)が可能になりました。

創業初期は”日本政策金融公庫”を活用しよう

この章では、日本政策金融公庫の創業融資制度について学びます。 公庫は、政府運営の金融機関です。創業初期でも、無担保・無保証で融資が受けられるので 対象条件を確認し、申し込み手続きを行いましょう。

創業融資制度の対象条件

創業融資制度とは、無担保・無保証人で、平均1,000万円(最大3,000万円)の融資が受けれる、創業者向けの融資です。 下記は制度を受けることができる対象者です。

日本政策金融公庫に問い合わせる

創業融資の対象者の方は、『日本政策金融公庫 – 国民生活事業』にお問い合わせをしましょう。 創業融資申込のお問い合わせは、電話窓口で受け付けています。

申し込み時に必要なもの

お問い合わせが完了したら、必要な書類を確認して、早めに揃えましょう。 日本政策金融公庫で創業融資を申し込む際の、提出書類は下記5種類です。

創業計画書を作成しよう

創業計画書とは、事業を始めようとする際、「どのような事業を行うか」を内部や外部の人に説明するために作られる書類です。 左図の創業融資を受ける際の注意点を読んだら、創業計画書を作成しましょう。 創業融資freeeで無料で簡単作成できます。参考リンクを貼っておきます。

月別収支計画書を作成しよう

提出必須ではありませんが、月別収支計画書を作成することで、”資金調達の目的と目標額を明確にする” ことができます。創業初期の会社にとって、資金調達は大きなリスクを含んでいる場合があります。「その資金は本当に必要か?」「どのくらい必要なのか?」を明確にして、無駄遣いや資金不足などのリスクを事前に回避しましょう。

金融機関側が見ているポイント

日本政策金融公庫が見ている下記のポイントを重視しながら、必要書類を作成する必要があります。

  1. 返済できるのか?
  2. 十分な経験や実績を持っているのか?
  3. 融資で得たお金は何に使われるのか?

書類審査に落ちてしまい、再度申込を行えるのは、最低でも『6ヵ月後以降』になるので、金融機関側の視点に立ってアピールポイントや不備等のないよう、相手が納得できる準備をしよう。

株式会社タチアゲ代表 青木
株式会社タチアゲ代表 青木

日本政策金融公庫の創業融資制度は把握できましたか?創業期は公庫を頼るのが間違いないですので必ずチェックしましょう!

創業初期は”信用保証協会”を活用しよう

日本政策金融公庫の創業融資についで、選択肢に上がるのが信用保証協会の制度融資です。 信用保証協会の審査が通れば、今後金融機関の融資審査が通りやすくなるので 対象条件を確認し、申し込み手続きを行いましょう。

信用保証協会の役割

信用保証協会は、銀行とあなたの間に第三者として入り、返済出来ない場合のリスクを銀行に代わり負ってくれる国の機関です。 債務者(融資を受ける側)が万が一返済できなくなっても、信用保証協会が返済を肩代わりしてくれるので、金融機関の融資審査が通りやすくなります。下記は、信用保証協会の役割の図です。

お近くの信用保証協会に問い合わせる

信用保証協会は各都道府県により、申請条件や必要書類が異なります。下記のリンクからお近くの信用保証協会を探し、条件や必要書類を確認しましょう。

審査時に重要視されるポイント

信用保証協会側が「審査時に見ているポイント」は基本的には日本政策金融公庫と同じポイントです。

  1. 返済できるのか?
  2. 十分な経験や実績を持っているのか?
  3. 融資で得たお金は何に使われるのか?

審査時には担当者との面談も実施されます。事業計画書や資金繰り表など、会社にまつわる書類は手元に用意しておきましょう。

審査の申込みを行おう

信用保証協会の申込方法は2つあります。

  1. 個人が直接申し込む方法
  2. 金融機関が代わりに申し込む方法

ほとんどの企業は②の方法で申込みを行なっています。まずは法人用の銀行口座開設が完了している金融機関に融資の相談を行いましょう。法人口座開設がまだの方はこちらの記事で学びましょう。

創業期におすすめの法人口座7選 【2024年5月最新】創業期におすすめの法人口座7選|金融機関の選び方と口座開設に必要なものを図解で徹底解説!
株式会社タチアゲ代表 青木
株式会社タチアゲ代表 青木

信用保証協会の制度融資は把握できましたか?創業期は「日本政策金融公庫の新創業融資制度→信用保証協会の制度融資」の流れで進めていくのがおすすめです。