【会計とは?】1年間の会計イベントを図解で解説|起業を考えたら読みたいはじめての会計ガイド

起業を考えたら読みたいはじめての会計ガイド

この記事でわかること 
  1. 会計と企業活動の関係性について理解できる
  2. 会計の1年間の流れが分かる

この記事では直近7年で2社起業経験のある執筆者が、失敗しない起業の始め方・やり方をすべて無料公開します!

会計の全体像を知ろう!

この章では「会計がどのような仕組みになっているのか」を学びます。 会計は、財務活動・投資活動・営業活動の「3つの企業活動」を通して、 「いくら儲かっているのか」「いくら損しているのか」を把握することができます。

会計とは何か?

タチアゲくん
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会計はどんなもので、なぜ必要なのか知っていますか?

あなた
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タチアゲくん
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正解です!お店での支払いも会計の一部を指してます。会計とは「会社の正しい状態を、数字で報告すること」を指します。居酒屋を経営しているのであれば、1年間のお店の売上をまとめ、経費にいくら使い、その結果、いくら利益を出すことができたのかを報告することも会計の一部です。

あなた
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3つの企業活動と財務諸表の関係

企業は「①お金を集める→②投資を行う→③投資したモノから儲けを作る」という3つの活動を通して利益を生み出します。そして、この3つの企業活動を数字で表したものが “財務諸表” になります。

財務諸表は年度末に法人が提出する決算書と同じです。

決算書(財務諸表)とは

決算書は、3つの資料から構成されており「企業の財政状態(健康状態)を表す重要な資料」です。

  1. 貸借対照表 (BS)=お金の調達先と、集めたお金を何に使ったかが分かる
  2. 損益計算書 (PL)=一年間でいくら稼ぎ、稼ぐために努力したことが分かる
  3. キャッシュフロー計算書 (CF)=3つの企業活動で動いた、お金の流れが分かる

決算とは

決算とは「会社の1年間の経営成績を決算書(財務諸表)で提出すること」を指します。  

例)3月決算の場合:「4月1日〜翌年3月31日」までの収入・支出を整理する

日本国内の企業は「1年に1回、決算書と税務申告書を提出する義務」があります。

税金とは?

企業は法人(法律で権利を与えられた人)になることで、社会で、モノやサービスを売買することができます。

人は給料をもらうと所得税を払い、住んでいる場所に住民税を払います。法人も同じく税金を納める必要があります。

  • 法人税=企業活動で残った利益(所得)に対してかかる費用
  • 住民税=会社所在地を置いている場所に住民税を納める

会計の年間スケジュールを把握しよう

3月決算の法人の場合、年度初めの4月〜7月は決算作業で忙しくなります。

2月の末頃から準備を始め、5末までに法人税の申告を行いましょう。

下記は、一般的な法人の会計年間スケジュールです。

会計とは?

この章では、”会計”をさらに掘り下げて理解していきます。 1年に一度行う決算で、自社の経営状況を利害関係者の方に 報告できるよう、1年間で発生した支出と収入をまとめておきましょう。

会計とは?

会計とは、企業の経済活動を記録し、利害関係者の方に報告する一連の流れのことです。 営業活動やマーケティング活動など、企業活動の中でも、会計取引として識別できる項目は一部です。 会計取引として識別されたものは「仕訳」という形に変換され、「会計帳簿」に記録されます。 会計帳簿に記録することを「簿記」といいます。

会計を理解するコツは?

会計を理解するには、企業活動の流れを理解することが重要です。企業活動は【お金を集める→投資を行う→利益を上げる】3つの活動から成り立っています。企業活動は人間の血液循環と似ています。血液が体内を駆け巡り酸素や栄養素を運ぶのと同じように、企業は3つの活動を通じて「お金」を増やすことで、利害関係者(株主や銀行)に利益を循環していきます。そして、3つの企業活動を数字でまとめる作業が会計であり、数字を書類に整理したものが決算書であるため、企業活動の理解が重要なのです。

簿記とは?

簿記とは、会計取引として識別されたものを会計帳簿に記録することです。簿記には2種類あります。  

  1. 単式簿記 :(お小遣い帳や家計簿):収入・支出・残高(貯金)の “現金の出入りのみ” を記録する
  2. 複式簿記 :(企業会計):収入や支出の “お金の流れ” まで記載するので、「どのように使われたか」が明確にわかる

なぜ企業は難しい表を使うのか?

企業が「損益計算書」や「貸借対照表」といった特殊な表を税務署に提出する理由は、 企業が利益をあげるための団体であり、事業年度ごとに活動報告を行うルールが存在するからです。 また、外部の投資家(株主)や、銀行から借入を行い資金を調達するケースでは、株主や金融機関に対して、説明責任が発生する ため、全ての関係者が等しく理解できるように、統一されたフォーマット=決算書で提出する義務が企業にはあるのです。

会計を理解するメリット

会計を理解すると、 “事業の未来を予測できる” ようになります。  

  1. 大きな問題が発生する前のリスクを事前に予測し、発生前の段階で対応策を打てる
  2. 将来の事業ビジョンを数字で描けるようになり、「資金調達の計画・事業投資」への施策が明確になる

会計を理解し、日々の企業活動を常に管理しておくことが、リスク回避につながります。

※下図は黒字倒産 (売上が上がっているのに、支払いが出来ずに倒産してしまう) の図です。

決算を理解しよう

この章では、決算の全体像について学びます。 決算は、会社経営の中で最も重要なイベントです。 決算を無視すると、本来払う必要の無かったペナルティが発生します。 1つずつ学びながら、必要な準備を整えましょう。

決算とは?

決算とは「会社の1年間の経営成績を決算書(財務諸表)で提出すること」を指します。  例)3月決算の場合:「4月1日〜翌年3月31日」までの収入・支出を整理する 日本国内の企業は「1年に1回、決算書と税務申告書を提出する義務」があります。

決算書(財務諸表)の役割

決算書は、3つの資料から構成されており「1年間の企業の経営成績 (健康状態)を表す重要な資料」です。

※人間でいう『健康診断書』に当たります。  

  1. 貸借対照表 (BS)=お金の調達先と、集めたお金を何に使ったかが分かる
  2. 損益計算書 (PL)=一年間でいくら稼ぎ、稼ぐために努力したことが分かる
  3. キャッシュフロー計算書 (CF)=3つの企業活動で動いた、お金の流れが分かる

決算書は誰のために作るの?

決算書は、企業を取り巻く利害関係者 (ステークホルダー)のために作ります。 利害関係者において決算書の位置付けは「過去から現在の数字の推移・業界との比較・同業他社との比較等」を客観的に 見れる点です。

なぜなら「投資・融資・提携などの意思決定を下す」際に重要な判断材料になるからです。

下図のように、様々な利害関係者が決算書を気にしています。

決算書は企業活動とセットで理解する

決算書は「①お金を集める→②投資を行う→③投資したモノから儲けを作る」3つの企業活動とセットで理解しましょう。

  1. 貸借対照表 (BS)=「①→②」お金の調達先と、集めたお金を何に使ったかが分かる
  2. 損益計算書 (PL)=「③」一年間でいくら稼ぎ、稼ぐために努力したことが分かる
  3. キャッシュフロー計算書 (CF)=「①→②→③」3つの企業活動で動いた、お金の流れが分かる

貸借対照表(BS)の理解

貸借対照表は、財産残高一覧表とも呼び「会社の財政状況が分かる資料」です。右側 (調達状況)と左側 (運用状況)が、必ず同額で揃っていなければならないことから「バランスシート(BS)」とも呼ばれています。

この表を理解できれば、企業が「何を持っているか」が分かります。下記の図のように、資産の部と負債の部は、それぞれ「流動」と「固定」に分かれています。  

  • 流動:”1年以内” に現金化される or 支払うもの
  • 固定:”1年以上” かけて現金化される or 支払うもの

損益計算書(PL)の理解

損益計算書(PL)は「毎期の利益を正しく計算するための書類」です。企業が「1年でいくら稼ぎ、どんな努力をしたか」 分かります。この書類には、1年間の売上・費用・利益、または損失が表記されます。企業が「赤字なのか・黒字なのか」分かる ことから『1年間の経営成績表』のような書類です。利益の計算式は「収益 ー 費用 = 利益」と、簡単に出すことが出来ます。

キャッシュ・フロー(CS)計算表の理解

キャッシュ・フロー計算書(CS)は、全企業に共通する、3つの活動の「現金の出入りを活動別の観点から整理した書類」です。 この表を見れば「3つの活動別で1年間でお金がどう動いたのか」が分かります。  

  1. 営業活動CF:”営業活動に関する” 現金の出入り=『営業収入や商品の仕入・支出等』
  2. 投資活動CF:”投資活動に関する” 現金の出入り=『有価証券や固定資産の取得や売却等』
  3. 財務活動CF:”財務活動に関する” 現金の出入り=『増資や借入金の返済等』

会計帳簿をつけてみよう

この章では、会計帳簿の基礎知識について学びます。 会計帳簿とは、全ての企業で作成義務のある「会社版の家計簿のような書類」です。 企業活動の中で「どのようにお金が動いているか」を把握し、 破産や黒字倒産を避けましょう。

会計帳簿とは?

タチアゲくん
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会計帳簿はどんなもので、なぜ記帳する必要があるか知っていますか?

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タチアゲくん
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会計帳簿は、企業が日々の取引を記録して、企業の資産や経営状況を明らかにするための「会社版の家計簿のような書類」です。毎期ごとに必ず作成する、貸借対照表や損益計算書のもととなる為、必ず用意しなければなりません。

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会計帳簿作成と会計ソフト

会計帳簿は、昔は全て手書きか、エクセルを使用し作成していました。 現在では便利な会計ソフトがあるので、作成からダウンロードまで全てオンライン上で完結できます。手書きですと 「記入ミス・記入漏れ」は避けられません。会計作業を少しでも楽にするために、会計ソフトの導入を検討しましょう。

自社で行う場合は会計ソフトを導入する

会計帳簿は、会社法により帳簿の “記帳と保管” が義務付けられています。 会計業務は業務内容が複雑なため、経理担当者の採用も重要ですがまずは会計ソフトを導入し、代表者本人が帳簿を付けることを検討しましょう。会計ソフトを導入することで、会社経営で切り離すことはできない、会計知識が身につくためです。

会計の年間スケジュールを把握しよう

この章では「会計の1年間の流れ」について学びます。 会計は年間を通してやらなければならないイベントが盛りだくさんです。 先回りして準備を行い、余裕を持って業務を終わせていきましょう。

※『3月決算』の場合の会計スケジュールになります。

法人設立

法人を設立すると、納税しなければならない税金が発生します。設立後にやるべき納税やイベントを一緒にみていきます。  

【5月】法人住民税の徴収開始

企業は法人(法律で権利を与えられた人)になることで、社会で、モノやサービスを売買することができます。そのため、法人も 個人と同じように住民税を納める義務があります。納税期限は ”事業年度終了日から2ヶ月以内に管轄の地方自治体に” 支払わなければなりません。起業1年目の新設法人の初回の支払いは1年後です。税金の支払いは見落としがちなよくある注意点です。 忘れずに納付分の資金を用意しておきましょう。

【7月】源泉所得税を納付する(7月~12月分)

源泉所得税は「毎月の給与額に応じて従業員から天引きし、会社が従業員の代わりにまとめて納める税金」です。 代表1人の会社であっても、役員報酬として会社から給与をもらうため、源泉所得税を納税する必要があります。 毎月の従業員の給与から天引きし、翌月10日までに納付するのが原則ですが、 『特例承認申請書』を提出すれば、半年ごと (7月と1月)にまとめて納付することができます。

【12月】年末調整を行う

年末調整は「会社側が行う、従業員のための簡易的な確定申告」を指します。12月に従業員それぞれの1年間の所得を計算し、 天引きした所得税額と実際の所得税額の差額を清算します。差額が多い場合は”差額分を従業員に還付”し、少ない場合は”差額を追加で徴収”します。10月に入ると税務署から書類が送られてきます。 ※下記は年末調整の計算方法です。

【1月】法定調書合計表を提出する

10月に入ると年末調整関係の書類が税務署から届くと前のレッスンで伝えました。その書類の中に「法定調書合計表」という書類が入っている場合があります。会社でのお金の支払いがあった場合に、税務署はその事実を届出させることで、会社のお金の動きを把握します。このときに提出させる資料が法定調書です。給与の額や税理士・弁護士等への報酬、家賃の明細、源泉徴収税額など、数種類の項目を記載した「法定調書合計表」を作成し、『1月31日まで』に税務署に提出しなければなりません。

【1月】償却資産申告書を提出(必要に応じて)

償却資産申告は、所有する固定資産を市区町村に申告する手続きです。償却資産税の課税を決めることが目的です。 固定資産とは、デスクや椅子、パソコン、社用車など、今後事業を運営していくに当たり、 “一年を超えて” 使用する財産です。 固定資産の所在する市区町村の役所に提出しましょう。申告書は郵送で送られてきますが、各市町村のホームページからダウンロードすることも可能です。

【5月】確定申告

法人の確定申告は「1年間の会社で上げた所得 (利益)を計算し、法人税を納付する手続き」を指します。 事業年度終了日から2カ月以内 (3月決算であれば5月末まで)に前期の所得を計算し『法人税・住民税・事業税』を申告して 納付します。